ネタばれ注意:『ゴールデンカムイ1話』物語解体

 ゴールデン・カムイを読了しました。

ゴールカムイ一つ表紙jpg 

 以前から、気になっていた作品ですが、レンタルで漫画を借りてきました。西向く侍です。みなさんいかがお過ごしでしょうか。西向くは今日も元気です。全国の台風の話題も気になるところですが、今日も今日とて更新します。
 今回の内容はゴールデン・カムイの一話を読んだので、考察及び物語の解体です。
 ネタばれしか含んでいませんので、お気を付けください。
 順番としては次の通りです。

 物語全体像を説明。
 ストーリ設計やキャラクタ配置等を整理して、物書き的な考察。

 だいたいこの2つをします。

 物語全体像について

 第1話 不死身の杉本

 物語の始まりのシーン。
 全体の物語の色合いを説明する、軍服姿の主人公(杉本佐一)が、203高地においての戦闘シーンが描かれる。作品としての売りをそこで説明する。
 残虐シーン。強い主人公像をそこに描いている。

 場面は兵役満期除隊後、北海道にて砂金を掘る「杉本佐一」のシーン。
 懸命に砂金を掘る佐一に声をかける。

挿入用画像

 周囲の人間が語る、主人公の異名「不死身の杉本」という男の名前を口にする。主人公はちょっと名の知れた男である。とのこと。彼が名の知れた英雄であるのに、貧乏暮らしをしているのはなぜか?
「気に食わない上官を半殺しにしたから」との、質実剛健、正義の道を貫いた話を説明した。
 主人公の砂金掘りの動機を読者に説明する。「金がほしい!」
「酒飲みのおっさん」は主人公のことが気に入ったとのことであり、内緒で話すのだという前置きを元に、隠された砂金の話を行う。

 以下、
 男の話と主人公の会話内容

 冷たい川底の砂をさらい、砂金を取るために砂濾りを行う佐一へ声をかける酔っぱらい。
「なあ、面白い話をしてやろうか?」
 佐一は作業の手を止めず、視線をやり続きを促した。
 酔っぱらいは、人目を忍ぶような声音で続ける。
「――砂金にまつわる話なんだけどよ、ひとに言っちゃだめだぜ、あんたのことを気に入ったから話すんだぜ――」
 酔っぱらいは時折げっぷやしゃっくりを間に挟む。
「――北海道じゃ昔はあちこちの川で大豆くらいの砂金がザクザク採れた。一日に30匁(約112グラム)採れる採れる日が毎日続いたらしい。ゴールドラッシュってやつさ……で、その頃明治期に入ってからも鮭や鹿の量を禁止し土地を奪うなどして迫害してきた日本人に抵抗すべく、一部のアイヌ達が密かに軍資金を貯めていたらしい。砂金をごっそりな、それをひとりの男がブン盗った。持ってたアイヌを皆殺しにしてな。盗られた金の量は20貫(75㎏)! 八萬円の金塊だ」
 いつのまにか作業の手を止めて聞き入っていた佐一。
 酔っぱらいは話を続ける。
「警察に追われたその男は金塊を北海道のどこかへ隠した後に逃げることが精一杯だったのか、隠し場所を誰にも伝える暇もなく、捕まり……死刑囚として、地の果ての牢獄、網走監獄にぶち込まれる。男は外に仲間がいるらしく、金塊のありかを何とか伝えようとしていた。手紙は一切書こうとしなかった。看守が盗むからだ。誰もが埋蔵金のありかを探っていたからな」
 よっぱらいはしゃべりすぎたか、のどが渇いたのか一升瓶を口に含む。酒臭い息を一息ついた。
「出所間近の奴に、こっそり手紙を持たせるってのも、無理だぜ。そんなことは看守も予想してるから、出所する奴はケツの穴まで調べられる。金塊のありかは何をされても吐かなかった。挙句の果てに看守にも、ひでえ奴がいてな、脱獄できないように金塊強奪班の男は片足の筋を切られた」
 悲痛な様子で、いや愉快な様子か、酔っぱらいはいびつな表情をしながら佐一へ視線をつなぐ。
「あんたなら、どぉ~するね? 杉本さん……あんたならどうやって、財宝のありかを日本一厳重な監獄から外の人間に伝える?」
 面を上げて、佐一は酔っぱらいに付き合った。笑みを浮かべながら、楽しんでいた。
「どうやったんだ? 早くいえよ」
「入れ墨を彫ったのさ。同房になった死刑囚たちの体に埋蔵金のありかをしるした暗号をな。炭焼きも囚人による労働のひとつだから灰が大量に手に入った、それを唾液に混ぜてあとは、隠し持った針でコツコツと……暗号は外の仲間にしかわからないものらしい。囚人に解けちまったら抜け駆けされるからな。そして、男は囚人たちにこういった。ここから脱獄しろ。成功した奴には金塊を半分やる」
 話を聞いていた佐一は疑問を投げる。
「うーん。変な話だな……そんな面倒なことをせずに、脱獄させる奴に暗号の手紙をもたせりゃいい、入れ墨なんて目立つマネを……」
 一口、二口と酒を口にした。こいつは酒に強いのか、弱いのか。
「そう思うだろ? 入れ墨を彫った意図がわかるのはその後さ、『囚人たちの入れ墨は全員でひとつの暗号になっているらしい』入れ墨のうわさを聞いた屯田兵のはみ出し連中が死刑囚を移送するといって、強引に連れ出した。警察や来るも金塊を狙っていたからな、自分たちで囲って暗号を解こうとしたのだろう。しかし、それこそが囚人たちにとっちゃ脱獄の機会(チャンス)だった。欲をかいた連中が外に連れ出すことを囚人たちは読んでいたのさ。移送中だった囚人たちは、護衛の兵隊を皆殺しにして全員が森の中へ消えた」
「……それで?」
 金の匂う話にすっかり耳を奪われ、作業の手も止まっていた佐一は続きを促したが、酔っぱらいはここで限界がきたのか。
「あ? なにが?」
「脱獄犯や金塊はどうなった?」
 酔っぱらいの声音は眠気と仲良くするようすだった。
「あんた、その話はだれから聞いた? ずいぶん詳しいけど……
「ああ?」
 酔っぱらいはもう聞き取れていない様子だ。そのまま、何も返すことなく眠ってしまった。よっぱらいの近くの薪に一緒に座りこんだ。
 佐一は火を眺めていた。

 会話内容以上

 要約するより、全文を書き写した方が都合がよいように感じたので、そのように書いた。

 以下、物語をそのまま映す。

 うたたねする酔っぱらいと共に、火にあたりながら物思いにふける佐一。
 白昼夢を見る。
 親友である寅次との夢を見る。
 虎次と砂金を掘る動機を説明される。寅次からの誘いから砂金掘りに向かう。寅次の嫁である梅子の目を治療するために金が要る。金が要るから、砂金を掘る。白昼夢の中で寅次は戦死する。
 うなされて目を覚ますと、薪の火はくすぶっていた。いくら寝ていたのか。わからなくなるようなシーン。酔っぱらいの姿がない。
 背後に立った酔っぱらいは、後悔を見せる顔つきで、佐一の銃を奪い、佐一を撃ち殺そうとする。「しゃべりすぎちまった」と後悔を口にする。
 軍属帰りの佐一は主人公パワーで銃を奪い返し、形勢逆転。
 森へと逃げ出した酔っぱらいもとい、おっさんを見送る。
 上記内容の与太話が真実味を帯びてくる。
 男をほおっておくと、佐一自身に害を成す恐れがあるため、追跡を開始。
 森の中で土饅頭となっているうつろな目のおっさんを発見。

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 ヒグマに襲われたおっさん。ヒグマの修正として食い残しを埋める。ヒグマの土饅頭は縄張りとしての宣言の意味合いがある。
 死体の検分を行っていたところ、上半身に入れ墨が入っている。
 佐一は金塊のありかを示した地図を目の当たりにし、先ほどの与太話が本当の話であるということを確信を持つ。
 死体を食われてはいけないと考え、その場を離れようとしたところ、気に上っている子熊と遭遇、併せて芋づる式に巣穴から母熊が出てきて、佐一と遭遇。
 襲われるところを逃げ回る佐一。
 逃げ回っていたところを本作のヒロインが、ヒグマへ弓を射る。
 仕留めたヒグマを手慣れた様子で捌きながら、佐一とヒグマの件について話をする。
・背負っているはらわたを食われた死体の件について
・木に登って、避難している子熊の件について
・仕留めたクマの胃袋には、なにも入っていない件について
 上記の条件を元に、おっさんを襲ったヒグマは別に存在することが示唆された。
 マタカリプ(冬徘徊するもの)
 ヒグマの執着の話を元に、死体は捨てて、逃げるように案内をされた。上半身に地図を描かれた男をおいて逃げることは手がかりを失うことであり、何とか避けたい。佐一はヒロインと交渉を行った。
※※場面遷移、マタカリプと思われるヒグマに先ほどの子熊が捕食される図※※
 有力な力を持つ、ヒロインを取り込むために佐一は地図の話、金塊の話を行い、ヒロインの協力を得る。
 脳裏によぎる親友からの頼み(佐一の動機)
 夜のヒグマ撃ちの準備を整える二人。
 死体を目立つようにかがり火の近くに佐一が運んだ時に、入れ墨について判明した事実。
 入れ墨はすべて体の正中線で途切れており、毛皮を剥ぐことを前提とした切込みとのこと。
 入れ墨を施した人物の執念が見て取れるものである。
 皮を剥いで、避難することはできないのか? という佐一の質問に、時間がないと回答するヒロイン。
 この回答を元に、羆打倒を心に誓う佐一。
 ヒグマの唸り声を最後に描写あり。

 第一話終了。

 第1話って長い! 連載を意識した形でページ数が多いというのもあるのでしょうけど。長かった。2話以降については、もっと少ない文字数で説明できないものかしら。
 疲れました。書くのしんどかった。おそらく読者の方々も読むのしんどかったでしょう。

 ストーリ設定:第一話

 起:戦地から帰還した杉本佐一が金策のため、北海道で砂金を取る。
 承:一攫千金を狙うことができる埋蔵金の砂金の情報を手に入れる。
 転;急に銃を向けてきた、体に地図を描かれたおっさんの存在。及びクマとの闘争。
 結:おっさんの皮を剥ぐためにヒグマとの闘いに臨む。その際の協力者(ヒロイン)との結託。

 キャラクタ配置

 物語っていうのは基本的には、何かしらの心の成長を描くものがあるとのこと。今回の作品もそういう方向での整理として考えると主人公は成長する、乗り越えるなにかを持っているのではないだろうか。
 この作品の売りなどを整理していく。どこを面白みとしているのか。

 登場した順番に描く。

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 杉本佐一
 主人公(ヒーロー)としての役割。
 彼は物語において、「不死身の杉本」と称されるほどの功を立てた人物である。彼は物語において既に成し遂げて、ある一定の力を有している。彼の作品での成長は身体的な成長ではなく、心の成長、交流が彼の成長であると検討する。
 作中において描かれる彼のキズは? 現段階では描かれることではないが、過酷な兵役を生き抜いたシーンは彼のキズ、心のキズといっても差し支えないのではないか。
 今後は彼の心の傷をどのように癒し、迎え撃つか。
 彼は銃を持っている。圧倒的な生命力を持っている。
 時折、物思いにふける彼の過去に向き合う要素があるように思われる。

 よっぱらいのおっさん
 使者(ヘラルド)としての役割だろうか。物語を進める役目を持った存在。
 彼は主人公である佐一と交流を行い、酔いの勢いから金塊についての話を振る。
 彼は物語を前進させるための重要な要素として描かれる。併せて、小悪党としてのふるまいから主人公の強さ、タフネスを表現するいい配置だった。彼の役目は主人公の引き立て役であり、主人公の金がほしいという、努力のベクトルを示すための人材。

 木の上に上る子熊
 物語の構成上必要な存在。何かしらの役割を与えることは難しい。
 この後、マタカリプに捕食されていたので弱者としての表現ギミックか。

 巣穴から飛び出した母熊
 物語の構成上必要な存在。主人公に対しての強い恐怖を与える存在として描くならば、彼の冒険をくじく存在として描くか。それならば第一の番人として整理するか。圧倒的な力を持っている母熊。主人公の命を脅かした。

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 アシリパ
 ヒロイン(主人公)及びメンターか。
 女性であるから、彼女はヒロインとして説明する。
 いまだ描かれている項目が少ないので、彼女のキズはわからない。殺されたアイヌの男たちの中に父がいるとのことである。それもキズとして考える。そして、そのキズに向き合う彼女の金塊探索の物語であるのだ。
 主人公に北海道のアイヌの風俗を教える存在。読者にとってのメンターに近いかもしれない。
 私たちは佐一と共に彼女のアイヌの知識に翻弄されるのだ。

 マタカリプ
 人を食べた恐ろしい羆。物語の第一級の危険。主人公たちはこの恐怖に対して、歯を食いしばって立ち向かう。それがこの物語のかなめか。

 物書きとしての整理

 漫画の第一話っていうのは情報量がとんでもなく多い。
 今後の伏線とか、物語の動機などを説明する必要があるからだろう。佐一の描写が多く、彼の背景を示す情報が多い。
 1話で見るこの物語の見どころというのは、北海道のうつくしい景色の描写だろうか。まだまだ、今後の推移を確認したい。
 今後の物語の推移を見ていきたい。

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