パターン5:マイナスからの復権

 皆さんこんばんは。

 長崎は雪でした。

 西向く侍です。皆さんいかがお過ごしでしょうか。

 以前に紹介した本のパターンに沿って、それぞれの梗概を作成していくという企画の5本目です。

 100本のうち5本目です。三日坊主の西向くにしてはよくやってると思います。

 今までの記事はこちらです。

 こちら→ 梗概100本!

 パターン5の概要はこちら!

 こちら『図解でわかる!エンタメ小説を書きたい人のための黄金パターン100』 

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 出典:榎本秋(2011).『図解でわかる!エンタメ小説を書きたい人のための黄金パターン100』株式会社アスペクト

 引用ばかり繰り返していると、引用時の主従の関係性が明確でないとか言われたらたまらないので、もう少しばかり西向くの主を明確にして記事を書きましょう。

 書籍の方の説明には、若年層をターゲットにしたライトノベルにおいてはあまり好まれないストーリー構成であるとのことを書いてありましたが、そんなことはありません

 今の若い子がどうかは知らないですが、西向くが好きだったライトノベルで『紅』シリーズがありました。

 

 2005年12月20日初版。2014年に集英社のスーパーダッシュ文庫の廃刊に併せて刊行され始めたダッシュエックス文庫において新装版として再出版されました。

 最初から最後まで主人公の鬱屈としたトラウマと強さを求める彼を慰めるヒロインの物語です。

 ライトノベルの主人公の例に漏れず、魅力的なヒロイン達が主人公の真摯な姿に心惹かれていくというおおよその期待を裏切らない展開です。

 強すぎる敵にボコボコにされた後7歳のヒロインに応援されて力を発揮するという王道です。

 この物語は「マイナスからの復権」という作品になります。私たち読者が見たくない汚い世界に住む主人公が強さとやさしさを取り戻していくという物語です。

 ちなみにアニメもあるのですよ。

 

 原作ブレイクという言葉が見事にあてはまる映像作品です。

 ライトノベルのアニメ化というのは原作ファンのために作られる必要はないのです。映像用に最適化されたシナリオ、最適な演出、最適な演技。それらすべてが見事なラインで構成された作品です。

 息遣いまで聞こえるような演技の声優陣にほれ込んだのこもこの作品がきっかけだったりします。

 原作とは別物として楽しむのもよいかもしれませんね。

 実は西向くはアニメの方が結構好きだったりします。

 Blu-ray版にはキャストと監督の副音声だったりが収録もされていて、それも結構聴きごたえがあったりします。

 西向くの創作に対する考えが改まった作品でもあります。

 「マイナスからの復権」について、具体的な作品名を出して紹介をしたところです。

 

 西向くが考える「マイナスからの復権」の魅力の理由 

 生きるということは何かを奪うことに違いありません。

 人々がいつも善なる心で過ごすことが可能であれば悲劇などおきようはずもありません。

 しかしながら、そういった悲劇は世の中に多く転がっています。

 創作の中ですら希望が望めない世の中ならば生きている理由などありません。

 人は心に刺さる救いを求めているのだと思います。

 さて、次は西向くの梗概です。

 西向くの梗概(オリジナルストーリだよ!)

 タイトル:悪魔を愛した男

 

 世界を絶望に落とした男は、一人の悪魔を愛して、そしてその悪魔を失くしてしまった。その焦がれるような愛に焼かれた男は自暴自棄になっていた。

 

 ヒデオは千代を失くした。

 千代は身寄りがいなかったようであり、つながりがあるヒデオと数人の友人で千代を火葬場で焼いた。彼女がなんの宗教を信じていたかどうかも知らなかったので、宗教的なものは全部省いて焼くだけにおさめた。

 突然のことで驚いていたものだった。しかし、彼女はいつでもなんでも突然だった。ヒデオの前に現れるのも突然で、失くすのも突然だった。

 恋に落ちるのも突然だったのだ。ヒデオが頼みこんで千代を口説き落とした。千代はヒデオの頼み込みに負けて、なし崩し的に付き合うことになったのだ。

 常に奔放な人物であった。ヒデオを恋人にしたのは気まぐれな性質の一つだったのかもしれない。

 ヒデオは頼み込んで、彼女に他の男と寝ることもやめてもらった。

 二人で気ままに暮らしているある日、彼女は突然死んだのだ。

 世界がモノクロになって、どんな音も遠く聞こえる。ヒデオは悲しいのに、世界が通常運転であることが憎らしい。

 お骨を食べて暮らしていた。

 まるで落雁の砂糖細工のようで、ほんのりとした甘味がある。お茶が欲しくなるのだ。お骨は甘い。

 彼女は死なないはずだった。死なないはずの人物がなぜ死んだのか。ヒデオは常々考えていた。彼女は死なないのが死んだのだから、何かしらの理由があるはずだ。そう考えたヒデオはほうぼうの友人に訊ねて回った。

 千代が不老不死の存在であることを知っている友人は限られていた。 

「彼女は悪魔だったからねぇ。本当は死ぬはずなんてないのになぁ。あたしも悪魔が死んだなんてのは初めて聞いたのよ。あの子が死ぬなんてねぇ・・・・・・彼女が死んだからということで葬儀を挙げるなんてのはちゃんちゃらおかしかったわね。ちゃんとご飯食べてる? なに? あの子のお骨食べてるの? やめなさいよ。骨がなくなるよ」

 人形師のマツリはヒデオを諭した。

「千代ちゃんに似た人形でも作って売ってやろうか? それで、あんたの気持ちが慰められるならどうね?」

 ヒデオはマツリの商売っ気に嫌気がさした。こんなにも傷ついている自分を前にこんなことを言えるなんてのはどういう神経しているんだろうか。

 そんな風に憤る気持ちがある中、マツリの前にある人形を見ていたらヒデオは気づいた。

 千代にそっくりなのだ。

 ヒデオの視線に気づいたマツリはばつが悪そうに視線を伏せる。しばらく睨みつけていたら、彼女は言った。

「生きている奴を人形にしたら、いろいろと問題があるんだよ。それに千代ちゃんみたいな悪魔が近くで亡くなったんだ。人形にしないわけにはいかない。こいつは売れる。だってそれくらいに美しい悪魔だったから」

 マツリの言い分がわからないヒデオではなかった。しかし、この千代を冒涜しかねない腰の軽さが気に食わなかった。

 ヒデオはマツリに嫌われるのが嫌だった。千代を通して知り合った仲ではあったがお互い珍しい人間同士の知り合いというのもあって大事にしたい奴だったのだ。それはマツリも一緒だと思う。

 それを知っているヒデオは頼み込んだ。完成したらそれを安く譲ってくれと。最初は渋ったマツリだったが、承諾をした。

 金にケチなマツリが珍しいとは思った。

 しばらくすると、ヒデオの家に人形が届いた。基本的なことはすべて自立でできる。食事を与えれば食べるし、排せつも自分でする。人と何ら変わらない。人よりも丈夫だとのこと。

 丈夫? どういうふうに?

「腕が取れたら、腕も時間をかけてなおる。多少の傷であれば元通り。いろいろバラバラにしたら台無しになるからな。気を付けてね」

 足りないものは人権だけだ。そんな言葉を残してマツリは人形を遺して事務所に帰っていった。

 愛する千代が戻ったような、そんな毎日だった。千代は奔放な人物だったが、人形は物静かだった。なにも言わない。日々を繰り返すだけだった。

 千代のお骨はとうに食べきってしまっていた。あの甘い骨が食べたい。そんな気持ちに駆られて、ある日人形の指を一本もいで、食べてみた。

 ごめんな。ほんとにごめん! そんな風に言いながらスープにして煮込んで、骨離れをよくしてから食べた。調理した後の骨はいったん乾かしてから少しずつかじって食べていた。

 落雁のような甘い砂糖菓子のような味だった。

 それを食べながら、ヒデオはなにかがわかったような気がした。

 

 金にケチなマツリがなぜ人形を安く譲ったのか。

 なぜ、人形の骨と千代の骨が同じ味がするのか。

 

 いろいろ訊いてみたいけど、なんだか怖いから放っておこうと思った。

 

 とにかく千代は死んでいないんだ。

 

 ヒデオはヒデオが望んだ千代の姿だけを愛していたのかもしれない。

 千代に似た人形を愛するのも、千代を愛するのも同じことだ。

 人と別れる上で一番楽な方法は死別ですね。

 死んだことにしてしまえば簡単に別れられます。

 世界中で暴れまわった主人公は最愛の人を見つけるけども、死別をしてしまい、心の傷を負います。

 しかしながら、実はただヒロインに袖にされたというだけの話でした。誰も死んでいない、誰も不幸になっていない。良い物語でした。

 次のパターンは「行きて帰りし物語」です。

 次もよろしくお願いします!

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